「マップの読み方・応用編|「リコールマップ」とは何かを理解しよう」の記事に対して、リコールが強くなる条件に関してご質問をいただきました。
そこに定量的な答えを出すため、シミュレーターを作りました。このシミュレーターを使うと、どういう条件でリコールが強くなるのかがわかります。まだの方はリコールマップの記事を先にご覧ください。

ヨシ先にお断りしておきます。このシミュレーターはニッチすぎるので、無理に使わず、リコールマップの記事だけ読んでいただければ大丈夫です! どうしてもリコールの深淵を覗きたいという奇特な方だけご覧ください。
この記事・シミュレーターからわかること
- 最後に通過する砦から城までの距離が11歩以上のマップではホーリーワード8よりもリコールが強い
- 実戦では移動距離以外の要素も考えてブックを組むべき
リコール vs ホーリーワード8周回効率シミュレーター
リコール(城へワープ)とホーリーワード8(次のダイスを8に固定、以下HW8)。どちらも「ブックの移動スペル枠」を奪い合う関係にあります。そこで、シミュレーションによって、リコールの移動距離がHW8の移動距離を上回る条件(閾値)を計算できるようにしました。
カルドセプト ビギンズ|マップ(L・T)を固定し、N を 1〜L まで動かして、リコール採用がHW8採用の周回効率を上回る閾値 N* をモンテカルロで求める。
| k(採用枚数) | 閾値 N*(最後に通過する砦から城までこの歩数以上離れているなら、HW8よりリコールのほうが移動距離が長くなる) | N* での到達マス(リコール/HW8) | リコール1回あたりの平均移動マス@N* |
|---|
N* = 「到達マス数(リコール採用) − 到達マス数(HW8採用)」が負→正に変わる最小の N(線形補間で小数交点)。「該当なし」= 全 N 域でHW8が優位、または全域でリコール優位。
リコール1回あたりの平均移動マス:— マス
城ぴったりで止まるリコールは、砦をダイスで通り越してからでないと撃てない(オーバーラン)。N が小さいほど超過分の割合が大きく、平均移動マスは N − オーバーラン分まで目減りする。撃てなかった(リコールを1度も使えなかった)N 域は線を切る。
モデルの要点(クリックで展開)
- 環状一方通行・砦1個(位置 L−N)。pos≥L で1周完了、端数は次周へ持ち越し(HW8の通り越し前借り)。
- リコール:砦通過済み & 残り(L−pos)≥T & 手札にあり、の時に発動。城ぴったりで止まる(前借りなし)。発動時の L−pos がワープ距離。
- スペル衝突時はリコール優先。HW8は即打ち。ブック40枚・初手4枚・0枚で同内訳再構築(手札保持)。
- ディスカード:手札7枚→6枚、「その他」優先で捨て、足りなければ余剰スペルを捨てる。
このツールが計算していること
「最後に通過する砦から城までの距離」を N(歩)とします。周回方法によって最後に通過する砦は変わりますので、あらかじめ周回方向を決めてNを入力してください。


こうしたマップを下記2種類のブックで周回します。
- リコールを k 枚積んだブック
- HW8 を k 枚積んだブック
上記を規定回数シミュレーションして、決まったラウンド数でどれだけ前に進めたか(総前進量)を比較します。そして「リコール採用ブックの移動量がHW8採用ブックの移動量を上回る最小の N」=閾値 N* を求めます。
設定項目の意味
- マップ1周の歩数:城を出て一周して城に戻るまでのマス数。
- 城から何歩以上離れていればリコールを使用するか:残りこれ以上ならリコールを使うか、の判断基準。
- 例:城が今の位置から4歩以内ならば撃たないが5歩以上離れているならリコールする場合=5と入力
- ダイス上限:通常ダイスの最大目(標準は8)。
- ラウンド数:1ゲームで回すターン数の想定。
- 試行回数:5000以上を推奨
結果の読み方
閾値表

リコールを k 枚積んだとき、砦が城から N* 歩以上離れていればHW8よりリコールのほうが移動距離が長くなる、という境界値です。この例では、Nが10歩以下ならHW8が有利です。11歩以上でリコールが上回ります。
架空のマップでご説明します。

上のマップは城から砦が14歩(11歩以上)離れているのでリコールがホーリーワード8より強いと判断できます。
リコール1回あたりの平均移動歩数
設定した条件において、リコールが何歩移動できるかを表示しています。
リコールは砦を通り越してからでないと撃てません。仮にリコールが毎ターン必ず手札にあったとしても、砦の手前からダイスを振る以上、砦のマスにぴったり止まれるとは限らず、たいてい行き過ぎてしまいます。この行き過ぎ分(オーバーラン)が、リコールの移動距離をN(最後に通過する砦から城までの距離)から削ります。
砦の十分手前からダイスを振り続けたとき、砦を何歩オーバーするかの確率は以下のとおりです。
| オーバー | 0歩 | 1歩 | 2歩 | 3歩 | 4歩 | 5歩 | 6歩 | 7歩 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 確率 | 8/36 | 7/36 | 6/36 | 5/36 | 4/36 | 3/36 | 2/36 | 1/36 |
| パーセンテージ | 22.2% | 19.4% | 16.7% | 13.9% | 11.1% | 8.3% | 5.6% | 2.8% |
この期待値が2.33歩です。
オーバーする歩数の期待値
= 0×8/36 + 1×7/36 + 2×6/36 + 3×5/36 + 4×4/36 + 5×3/36 + 6×2/36 + 7×1/36
= (0+7+12+15+16+15+12+7) / 36
= 84/36
= 7/3
≒2.33歩
つまり、カードの引き運を完全に無視しても、リコールの実効移動距離はN-2.33歩が上限です。
さらにシミュレーションでは、砦通過時にリコールが手札になくて、城直前でリコールを引くケースも含みます。そのためリコール1回あたりの平均移動歩数は、この上限よりさらに下がります。
N 対 到達マス数
青(リコール採用)と赤(HW8採用)の2本。交点(緑の線)が閾値 N*。交点より右ならリコール、左ならHW8が有利です。
周回効率の内訳
スペル不使用の素ダイスだけのベースラインと比べて、各スペルがどれだけ歩数を伸ばせているかを実測で表示します。
実戦を見据えたうえでの判断
最後に通過する砦から城までの距離は11歩以上でリコールが実用的に
様々な条件でシミュレーションをしてみたところ、最後に通過する砦から城までの距離が11歩以上からリコールがHW8よりも強くなります。
もちろん他の条件も勘案すべきではあるものの、最後に通過する砦が城から11歩以上離れているマップでは「リコールが強いのではないか?」と検討すべきです。
移動スペルの強さは移動距離だけではない|HW8とリコールの比較
HW8やリコールの強さは、移動距離の大きさだけではありません。それぞれのメリット・デメリットをまとめます。
| カード | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| ホーリーワード8 | 砦通過の有無にかかわらず使用可能 敵や同盟相手にも使える 空き地の確保に利用できる どんなマップでも移動距離が固定 ネガティブ呪いの上書きが可能 | 8歩先が高額領地だと使えない 足止めクリーチャーやクイックサンド回避には使えない |
| リコール | マップによっては大幅に移動できる 次ターン進行方向が選べる 確実に領地開発機会が得られる 魔力達成している状態で引き打ちすれば勝てる | 空き地確保には使えない 任意の領地を踏んで侵略することはできない 砦をすべて通過していないと基本的に使えない |
これらの特徴は、移動距離と違って定量的に評価することはできません。攻略サイトとしては数値で判断基準を示すべきではあるものの、力不足でそれは叶いませんでした。
移動距離という計算できる要素は計算したうえで、各種メリット・デメリットを踏まえて最終決定を下す。それが実用的な落とし所になるでしょう。
まとめ
ヨシ本シミュレーターでわかった結果を改めてまとめます。
- 最後に通過する砦から城までの距離が11歩以上のマップではホーリーワード8よりもリコールが強い
- 実戦では移動距離以外の要素も考えてブックを組むべき
私自身も感覚で済ませてしまっていた部分だったので、シミュレーションによって明確にできたのは収穫でした。かなりニッチかつ抽象化が難しい記事にもかかわらず、最後まで読んでいただきありがとうございました。


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